季節が衣替えをして、冬から春に。
梅や桃のピンクに始まり、色とりどりの花が咲くと。
真っ白なモクレンの花を見ると。
春だからと言って、桜でなくても、いいような気もしたりして。
ところが、今日のように見事に満開な桜の花を見ると、やっぱり桜なのだ。
横浜の桜もいいけれど、私が想うのは京都、奈良のそれ、
桜の樹の下には千年遡り、西行の姿が見える。
西行の短歌、それは今もって人の心を深く揺リ動かす。
若くして出家した西行が、日本の四季折々を詠んだ。
というよりも、私たちの知らない豊穣な自然の四季が、人を歌人に、哲学者にしたに違いない。